架空の私達








「何してるの?」

日曜日、朝から出かける姉は、朝からゲームをしている弟に声をかける、
お互い、朝っぱらから何をしていると言いたそうだ。
「ゲーム、友達から借りたんだ」
それでもにっこりと笑う弟に姉も笑いかけて、壁にかかっている時計を見ながらまだ時間があると確認し、弟とテレビ画面の傍へ寄ってくる。その様子を見ているとどうやらRPGをしているらしい、画面の中で3人のキャラクターが縦横無尽に走り回っている。
「それ、スーファミよね?古い機種じゃない」
今の時代ならばPS2が主流だ、弟の世代ならスーパーファミコンなど知らない子も多いだろう。
「うん、あの子が無理矢理押し付けてきた」
弟の言う『あの子』が誰の事なのか姉はよく知っている。これから逢いに行く人の妹だ。確かにあの子は少々強引だと思いながら再び時計を見た、時刻は8時30分、そろそろ出なければならない。
「あの子が押し付けた理由知りたい?」
弟の話にひかれてつい姉は頷き返してしまう、弟は少しだけ笑うと画面を指差した、そこには金髪で緑の服を着た女の子のキャラクターと茶髪の男の子のキャラクター、そして赤い帽子を被った女の子のキャラクターが街中で動きを停止していた。
「この金髪の子と茶髪の人がお姉ちゃんとあの人に似てるからだってさ」
「え…?そんなに?」
昔のゲーム画面の所為か顔がよく解らない、似ているのかさえも怪しい。
「だって、この子にはさらわれた弟がいるし、この人には勝気な妹がいるんだ、そっくりでしょ?」
兄弟構成が同じだからそっくり、と言われてしまっては世の中に何百人そっくりさんがいるのだろう?弟のため、あえてそこは言わず、軽く頷いてもう出かけようとカバンを手に取った。
「性格も似てるよ、この子は真面目で現実的でおねえちゃんそっくりだし、こっちはあの人みたいに一軒乱暴そうだけど、リーダーっぽいし、強いし、ね?ここまでそっくりなんだよ!」
性格まで指摘されると流石にそっくりさんは減っていくだろう、姉は再び頷いて玄関の方へ向かった。
「何?あの人とデート?」
出かけると気づいた弟が声をかける、
「うん」
気のない返事で返して姉は靴を履くためにしゃがみ込んだ、弟はゲームを中断して玄関まで姉を見送る。
「門限守らないとお父さんの雷が落ちるよ?」
「…あの門限、短すぎよ、お陰で早くに待ち合わせだわ」
門限は午後6時、それ以降に帰ってきたら許さないと二人の父親が言う、もちろん、先ほど弟に真面目と言われた姉はその門限を破った事はない。破らないかわりに少しでも長く一緒にいようと待ち合わせ時間は自然と朝早くなってしまったのだ。
「じゃ、行ってきます、ちゃんと門限には帰るわ」
愚痴を言いながらも守る辺り、本当に真面目だと思いながら弟はデートに行く姉を見送った。そして再びゲームを再開する。
「キャラの名前、二人の名前にしたって言ったら怒るかな…?」
ゲーム画面では姉の名の少女と例の彼氏の名の少年が会話をしていた。



待ち合わせ場所の数歩手前まで来て、まだ彼が来ていないことを確認し、少し安心しながら歩調を緩める、すると後ろから肩を叩かれた。
「おはよう」
「…吃驚した…おはよう」
朝早い待ち合わせが続く所為かすっかりこの挨拶が定着してしまった、
「お前が遅れるなんて珍しいじゃねぇか」
確かに、いつもなら10分前には必ず来て彼を待っている、そこで遅れた理由を歩きながら話し始めた。
「貴方の妹が私の弟に進めたゲームの事を聞いていたのよ」
それだけを聞くと彼もああと頷いた、どうやら妹に先ほどの姉弟の会話と似た様な事を言われたらしい。
「茶髪のヤツが俺に似てるってやつだろ?あと金髪の子がお前に似てるって妹が言ってたぞ」
「まさに、それを言われてたの」
どうやら弟が言った事は彼の妹が吹き込んだ事らしかった、そうでなければぼんやりしている弟の事、気づく事などなかっただろう。
「ぜんぜん似てねぇよな?外見が特に」
確かに二人ともれっきとした日本人らしく黒い髪を持っていた、染めている気配は全くない。
「あのキャラたちの名前、なんていうの…?」
出かける寸前で、全く興味を示していなかったので今更彼に聞いてみる。
「ええと…確か…」
少し思い出すように悩んだ後、ポツリと呟いた。





「デュランとリースだ」








栞語録
デュランとリースの現代モノ…
と思ったらそっくりさんの話になってしまったので裏行き〜…鬼伽噺以外の裏話は初めてだ…!
ってかPS2が主流なんですかね?PSPとかDSでなく?







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