*周囲の御方に5の指令*


※個々の話が短いので一まとめにさしていただきました。






01:ふたりをくっつけよ

「ぐ…」
資料が足らないのは確実だった。
文次郎は自室の机の前で資料や筆記用具を散らかしながら低く唸る。
何事もチャレンジだと難しい課題を選んだのがまずかったのかもしれない。
文次郎はため息をつき、資料を借りに図書室に向かおうと重い腰を上げる。
元々図書室とはなんだかんだ言いつつ相性が悪い、今日も行った所でまた保健委員並みの不運を被るのかもしれないと思うと足取りも自然と重くなる。
長屋の自室から校舎内の図書室へのろのろと移動して、入り口の前で念のため本を借りすぎていないか、貸し出しの期限を過ぎていないか、手を洗っているかなど頭の中で確認し、それがないと解ると少しだけ心を軽くして中へ入る。
図書室は異常なほど静かだった、カウンターを見れば見慣れた友人の姿があった、中在家長次だ。
この静けさは彼が本日の図書当番だから来る静けさなのだろう、大体彼は図書室の利用に対して厳しすぎるのだ、この前も騒いだ下級生を「素敵な」笑顔とやらで脅していた気がする。
彼をカウンターに据え置き、図書室内を本の整理のため静かに動き回っているのが一年後輩の不破雷蔵。
利用者が上級生ばかりなのは図書当番が上級生だけで下級生が敬遠してる所為なのだろうと勝手に思う。
資料のジャンルはわかっている、だがそれがどこにあるのかわからない文次郎は闇雲に探すより詳しい人物に聞いたほうが時間を上手く使えるとちょこまか動き回っている雷蔵に声をかける。少し、嫌がらせも兼ねて。
「なぁ、からくり建築の歴史関係の本ってどこにある?」
「あ、こんにちは先輩、それなら奥の書庫にあります」
初めて書庫の存在を知った文次郎に雷蔵は人懐っこい笑みを浮かべてひとまず持っていた本を置いて案内する。
「貸し出し禁止なので向こうの閲覧場所で読んでください」
「ああ、解った」
雷蔵に案内されて文次郎が初めて入るその書庫は思ったよりも湿気がなかった、恐らく本が傷まないように除湿をしているのだろう。
丁寧な事だと文次郎は思うと同時にこの手入れはきっと今もカウンターにどっしりと構えている友人がやっているのだと思うと感服する。
長次に続いて雷蔵も長く図書委員を務めている事を文次郎は知っている、雷蔵もどこになにがあるのかきちんと把握しているのだろう、ものの数分も立たないうちに文次郎がほしい資料のいくつかを抱えてやってくる、本に詳しい図書委員が選んで持ってくる資料だ、課題に使えそうな資料はこれで全部なのだろう。
「どうぞ」
「ああ、悪いな」
目分量より僅かに重かった資料を受け取り書庫を出ようとする。
「……」
「?!」
狭い書庫の入口で壁のように中在家長次が立っていた。
その仁王立ちの長次に二人は夜道で追いはぎに出くわしたかのような恐ろしさを覚えるが、長次本人は気にする事無く、じ、と文次郎と雷蔵を見る。
その眼力には迫力があった。

(ああ…やりすぎたか)

内心抱腹に怯えながら、いつもどおり無表情のままの長次を見上げ、文次郎は心理を悟られぬよう表情を作る。
「資料、借りるぞ」
「……」
顔には「図書室から持ち出すな」と言う忠告と、もう一つ、殺気が込められていた。
殺気は無視するとして、その忠告を受け止めた文次郎は彼に背を向けないように務めながら狭い入口を蟹の横歩きで抜け出す、再び静かな図書室に出て、他の人間の気配を感じるとようやく安心してその場から逃げるように閲覧場所へ向かった。

(すまん…すまん雷蔵…!)

少しだけ、からかってやるつもりだった、もちろん可愛い後輩ではなく親しい同学年の友人を。
だからわざと雷蔵に声をかけたのだし、雷蔵が資料を持ってくるのを図書室で待っても良かったというのにわざとのこのこと書庫についていったのだ。
だが、友人にはそれが親しみをこめたからかいだと通じなかったらしい。
いくら自分の波長で生きている彼でも、雷蔵が絡むとなにふりかまわないのだと、改めてその恐ろしさを知った。

そう、嫉妬、と言う感情はとても、途轍もなく、恐ろしい。

暗い書庫に置いていってしまった雷蔵の身を案じながら、ひたすら心中で謝罪の言葉を繰り返し、資料は読まずにそのままカウンターに置いて、文次郎は…逃げた。







02:相談されよ


廊下が、騒がしかった。
大勢の騒がしさではない、どうやら一人が何かに対して何か講義しているようなそんな騒がしさだった。
喧しい訳ではない。
「なんだろう?」
一人で保健室に待機していた伊作は怪我人だろうかと思いその二人組が保健室に来る前にこちらから障子を開く。
「あれ?長次…雷蔵君?」
今、丁度保健室に入ろうとしていたのか、タイミングよく開いた障子に驚いた顔の雷蔵を驚いたのだろうが無表情のままの長次が抱えた格好で伊作の目の前にいた。
「え…?なに??」
「いえ!大丈――」
「台から落ちた」
雷蔵の大丈夫だという主張を遮り長次の主語のない説明に伊作は理解に苦しむ。
「…雷蔵君?」
笑顔で長次より雷蔵に事情を求めると雷蔵は半泣きのまま頷いて答えた。
「本の整理中に僕が高い台に上ってて…そこから落ちて気絶していたらしいんです」
打ち所が悪かったのだろうがこの半泣きは落ちた衝撃によるものではないと伊作も解っている。
「そりゃ誰だって保健室に連れていきいたくなるよ」
台がどれほどの高さかはわからないが、気絶してしまったのなら一度見てみる必要があるだろう。
伊作は二人を中へ入れると敷いてある座布団に雷蔵を座らせて頭部を診はじめた。
長次はまるで番犬か、と言いたくなるような、雷蔵の少し後ろにじっと座ってこちらを見ていた。
なにもそこまで心配しなくてもいいのに、と伊作は内心苦笑する。
図書委員の中でも委員長である長次とそれを上手くサポートする雷蔵が抜けている今、図書室はどれだけ荒れ放題になっているのだろう。
それこそ長次が心配するべき点である。
「長次、もう戻って良いよ、雷蔵君は僕が見てるから」
多少気にしていたが、やはり自分の仕事は図書室にあるのだと思ったのだろう、渋々と保健室を出て行った。
それを見送った二人はまた向かい合って診察を始める。
「うん…たんこぶがあるね」
右の耳の後ろあたりに僅かだが異質な盛り上がりがあった。
だがこれくらいの大きさなら大丈夫だろう、心配は無い。
「このくらいなら平気かな?」
「ありがとうございます」
向かいあってほのぼのとお辞儀をする。
「念のためここで、少し、休んでいくと良いよ、お茶の用意するから」
自分でやろうとする雷蔵を「患者さんなんだから」と制して伊作がお茶を淹れた、湯気のたった暖かいお茶が二人の手前に用意される。
「全く、長次も心配しすぎだよねぇ」
「はい、すぐ気がついたんですけれど、無理矢理連れてこられてしまって…」
困ったように苦笑するが、あの長次を「心配している長次」だと見抜くとは流石だと伊作は感心する、伊達にサポートを買って出ている訳ではないのだろう。
「あの強引さ、どうにかならないでしょうか?」
せめて少しでも和らいでくれたら、と言う雷蔵の望みには伊作は首を横に振るしかなかった。
「あれは仕方がないことだよ、長いものには巻かれろって言うじゃない」
第一、雷蔵の言う「強引」とはつまり雷蔵が関わっている事だけなのだ、雷蔵に関しては本当にわがままで頑固だなぁと伊作は図書室の友人を思う。
「きっとさ、理由がある上での行動なんだろうから、少し見逃してあげてみたら?」


――なんていう事を話したのは数日前。

今、目の前にいるのは雷蔵に代わって長次、目線は少し上で左足を差し出してもらっている。伊作はその左足首に手際よく包帯を巻いていた。
「…不破の頑固には参る」
「……」
先ほど、図書委員数人かがりでこの体格の良い友人が保健室にやって来た。
その中の一人、雷蔵によれば書庫の本棚が倒れてきてそれに足を挟まれたのだという。
少し顔が赤かったので全て話さずとも長次が雷蔵を庇ったのだと解る。なんで解ってしまうのだろうと溜息をつきながら、挟まれたというのに少し重い捻挫程度で済んでいる頑丈さに素直に驚いた。
「本棚の下敷きでしょ?雷蔵君がここに連れてきたくなるのも解ってあげなよ、本気で心配してるんだろうから」
今頃その倒れた本棚の復旧作業に図書委員総出で取り掛かっているのだろう。
長次は返事の変わりに短く頷く。
「…大丈夫だといったのだが…困ったものだ」
「……」

全く、なんで僕が二人から同じこと相談されなきゃならないのか。

それはきっと彼の不運だという事を彼は知らない。






03:邪魔をせよ


夜になっていつもどおり夜間の自主トレに長次を誘おうとした小平太であったが、長次が昼間図書室で怪我をしたと聞き、さらに間近にその怪我の状態を見て長次の言うとおり自主トレは無理だと知った。
「よし、じゃー今日は俺も休む!そんで長次の看病だー」
自主トレも好きだが滅多にない友人の怪我、これで遊ばない手は無い。
足を怪我した長次の手伝いはもちろんきちんとやるが、その中でもちろん遊ぶつもりだ。

…と企んで数時間、深夜に入りだんだん集中力が切れてきたのか小平太は部屋を動き回る、どうも疲れていない所為か寝付けないし普段のこの時間ならまだ自主トレ中である。

「そうだ、長次を負ぶって塀を一周する位なら大丈夫だよな!」
「?!」
驚いて首を横にふり嫌がる長次をほっといて小平太は自分よりやや体格のある長次を背負う、予期していた重さだったがこれくらいならまだ動ける。
「よっし!いけいけどんどーん!!」
勢いよく障子を開けて外へ繰り出す、一番近い塀まで一気に飛び上がると長次を背負っているのが嘘のように身軽に物音一つ立てず走り去ってしまった。


「…あれ?」
入れ違いで雷蔵が長次と小平太の部屋へやってきていた、障子は開きっぱなし、行灯もつきっぱなしでもぬけの殻だ。
火事を恐れて静かに、緊張しながら室内に入り明かりを消す、部屋は暗闇に支配され、外から月明かりが僅かに射した。
その月明かりを元に廊下に出て首をかしげる。
「七松先輩は自主トレだろうからいないとして…長次先輩は怪我されてるのにどこに…」
ああだこうだと悩みだし周辺をうろつき始める、ここが一学年上の先輩たちの長屋だとはもはや忘れて考え事に熱中しているようだ。
「ん?」
遠くで微かに声が聞こえた。
「…――っけどんどーんっと!」
「――…」
「わぁっ!!」
考え事を中断され、雷蔵の前に現れたのは汗だくの小平太と小平太に背負われてやや混乱している長次。
小平太は雷蔵に気づかないまま部屋へ戻ろうとする。
「あれ?灯りが消えてる」
「あ、僕が消しておきました、危ないので」
入口で挙手をしながら主張する雷蔵にようやく気づいた小平太は手際よく明かりをつけてから雷蔵にお礼を言う。
「おお、危ないもんな、ありがとう」
「あの…長次先輩を背負ってどこへ…」
当の長次本人は呆けたまま座り込んでいる、小平太はそのことに全く気づいていない。
もう面倒を見ることを忘れてしまっているようだ。
雷蔵の質問にああ、と元気に答えどっかと座った。
「自主トレがしたくなって、でも長次を置いてけないからウエイトとして背負って塀を五周ほど!」
学園の敷地は広い、それを囲う塀を五回もしかも長次を背負って走り回ったのだとすると汗だくになっていても不思議では無い。
「心配かけてごめんなー長次は大丈夫っぽいし、不破も寝ると良いよ」
元気よく部屋に戻ることを言われると逆らえないので雷蔵は大人しく戻ることにした。
雷蔵は一度だけ長次を見やるとお辞儀をして去っていった。
「さぁって、汗を流してくる」
手ぬぐいである程度拭いたもののやはりじっとりと肌が気持ちが悪い、小平太はまだ疲れていなかったので余裕で立ち上がって部屋を出ようとする。
「あ、長次置いてけないなー…」
「…なら不破に留守番を頼めばよかっただろう?」
長次はいつもどおり無表情に呟く、口だけなら健在だ。
小平太は長次に言われるまで後輩の利用法に気づけず、短く溜息をつく。
「…俺の事なら構わない、汗を流してこい」
長次は手元に保健室の備品である松葉杖を引き寄せる、そんな便利なものがあったのだと小平太は満足して途端笑顔になる。
「じゃ、行ってくる」
身軽に部屋を文字通り飛び出しいつも使っている井戸へと赴く。
夜の空気を吸いながら、ふと、気づいた。

「あれ?なんで不破がいたんだろー?」

もちろん、長次の怪我を心配してこっそり様子を見に来たのだろう。

「んー?もしかして、すぐ追い返しちゃ悪かったのか??」

首を捻り、闇で何も映らない井戸の中を見下ろした。






04:のろけられよ


その日の午前は授業がないので委員会の仕事をしようと用具倉庫へ赴く、顧問の吉野先生は突然の申し出に喜びながら事務の小松田さんを門前へ移動させた。
先生の指示通り散らかった用具倉庫内を片付ける事になり、中へ入る。
中は元々の散乱具合に加えて先ほど小松田さんがしでかしたらしき破壊された用具も散らばっていた。
ああ、ただでさえ予算が少ないのに、壊れれた用具はどうしよう。
半ば呆然としながら午後までに一通り片づけを終わらせようと掃除を始める、吉野先生はいつの間にかいなくなっていた。
「すみません」
一番最初の利用客は五年だった。
見覚えのある顔を思い出そうと留三郎はしばらく思案する。
「ああ、不破か?それとも鉢屋?」
留三郎にこの二人の見分けはつかない。
五年は少しだけ頷いて慣れたように答えた。
「不破です」
「そうか、悪いな」
「いえ、もう慣れてます」
間違われる状況に、ではなく顔を常に借りられている状況にだろう。
大変だな、と思いながらそれでも片付けの手を休めずに五年ろ組が所望する用具を聞く。
「それなら向こうか…」
用具倉庫のどこに何があるかを完全に把握しているのは用具委員の上級生と小松田さんを除く事務員だけだろう、雷蔵は留三郎が用具を探す中、入口の出庫表を書き終えてどうすればいいか手持ち無沙汰にうろうろしている。
「しかし、こんなの使ってよく授業についてけるな」
「解らない事は長次先輩に聞いてますから」
「……筆談で?」
教わる、と言っても口頭とはとても想像できない、それほど留三郎にとって長次は無口な存在だった。
「ちゃんと話しますよ!」
「話せるのか!」
驚きのあまり思わず積みあがってる用具を倒してしまう、色々と失礼な言葉が飛び交ってるが、本人がいないので仕方がない。
「…ええ、ちゃんと」
「そうか…中在家長次の声なんてこの六年聞いたことないぞ」
いまいちピンとこないが、雷蔵が言うのだからそうなのだろう。
雷蔵は少しきょとんとして首をかしげた。
留三郎はようやく見つけた目的のものを持って奥から出てくる、久しぶりに見た懐かしいものは少々埃をかぶっていた。
「はぁ、ぼくはやっぱり同じ委員会なのでよくしゃべりますけど…」
「ほーどんな声なんだ?」
埃を払いながら雷蔵に少し独りで持つには大きい箱ごと手渡して出庫表に記入漏れがないか確認した。
ふと、雷蔵を見ると嬉しそうな顔をしていた、本当はもっと嬉しくしたいのだろう、必死に堪えているさまが微笑ましかった。
「えと…」

きっと、『低い』だの『渋い』だの『響く』だの言って惚気るのだろうな、可愛らしいじゃないか。

「面白い声です」

声高らかに、予想外の例えに呆気にとられる。
そのまま気恥ずかしかったのか雷蔵は一目散に去っていった。

「え…?ええ?」
今のが恥ずかしかったのか?それは本当に惚気だったのか?!そもそも「面白い声」とはどんな声なのだ?!
色々な疑問が留三郎の脳内で駆け巡り、それらの答えは何一つ彼の中で解明される事はなかった。






05:見守ってみよ


「何を言ってる?いつも大人しいじゃないか」
白々しくも静かな声で抗議する。
「いや!あれは見守っているとは言えない」
そう抗議するのは同室の悪友。
眼の下のクマがさらに酷くなっているような気がするが無視をする、どうせいつもついているもので取れやしないのだ。
「おまえは?どうなんだ?」
悪友は無視をして、隣にいる元気な友人へ声をかける。
今日はまだ土にまみれていない。
「んーまぁ、言えないかな?」
「楽しそうに罠を仕掛けては攻撃してるしねぇ…」
その隣にいる不運な友人が続けざまに言う。
「危機的状況で深まる愛もあるじゃないか」
もっともな事を言うが、悪友の隣にいるしっかり者の用具委員長が首を横に振った。
「あれは危機過ぎると思う」
「だから、見守るって言うのはこう…」
「煩いぞ、見守るも遊ぶも私の自由じゃないか」
聞き飽きたのでさっさとその場を去った。

「…やっぱり…遊ぶんだ…」

不運な友人の不運たるゆえんは恐らく一言多いからであろう。


それまでぎゃあぎゃあと煩かったところから一転、今度は静かな場所へ向かう。
もちろん、静かな場所といえば図書室だ、そこしかない。
向かう途中、前方に見慣れた姿を見かける、すぐに長次と雷蔵だと解った。
二人とも本や巻物を大量に抱えて図書室へ向かっていた、おそらく資料の整理のためだろう。
長身ゆえ、いつも歩幅の広い長次が雷蔵に合わせて今は窮屈そうに歩いている、雷蔵は雷蔵でそれを少しでも和らげようと心なしか歩調が速い。
さて、何をして楽しむか、思案しながら彼らの後をさり気なく追う、ただ観察しているだけでも十分に面白い。
ふと、一歩進めて思い出した。

はて、長次は確か昨日足を怪我をしたのではなかったか?

この目で確かめたわけではないが、昨日の放課後、本棚に足を挟まれて酷い捻挫をしてしばらく安静だと、手当てをしたという保健委員と長次と同室の友人がそう言っていたのを確かに聞いた。
だからおそらく動きが困難で不貞腐れてるだろう長次が篭ってる図書室に向かおうと決めたのだった。そこにはきっと雷蔵もいると予測をつけて。
足を怪我しているという事は歩くのは困難なはず、なぜこんな所で荷物を抱えていつもどおりに歩いているのだろうか?そもそも雷蔵は――…

「…馬鹿め」

思考の先に行きついた答えに呆れる。確かに普段から無表情な長次にならできなくもない。
二人はとっくのとうに図書室の中に入っていった、廊下には自分ひとり。
こそりと中を覗くといつもどおりてきぱき動く雷蔵とカウンターで本の整理を始めている長次、ほかの図書委員は見当たらない。
その様子を見て自分の推測が正しい事に確信を得る。

「今日のところは仕方がない」

たまにはただ見守るのもいいだろう。












一言
二人(この場合は長雷)を第三者視点で書く、と言うお題でした。

1→文次郎は図書室と相性が最悪だと思うのです。
2→これは相談なんでしょうか…?
3→こへ視点が難しいのは彼が何を考えているかわからないから。
4→栞本人がまだ彼の笑い声しか聞いていないのです。
5→アミダで割り振ったのですが、これが彼に来るとは…


ラインや背景は沈丁花です。花言葉は「やさしさ、おとなしさ」良い香りで三月ごろ咲き始めます。
葉っぱの形が「丁子」(ちょうじ)って植物に似てるそうです(笑)

狙ってません。適当に選んだらこうなってました。





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